以前一人暮らしをしていた時の話です。
そこは、幹線道路沿いで裏に神社のある5階建てのマンションの３階に住んでいました。１階が駐車場、２階がマンションオーナーの事務所・３階からが賃貸で各階エレベーターを挟んで向かい合わせに２個づつという作りでした。
街中にあるってこともあり便利だったので比較的長く、そこに住んでいたんですがある夏の晩それは起こりました。
普段から夜更かしするほうなんですが、その日は特に何をするでもなくただのんびりと過ごしていました。夜中２時を過ぎたあたりで玄関のドアを開けようとがたがたって音がしました。ガタガタガタ、ガタガタガタってしばらく音がするんです。普段から人の出入りの少ないマンションで部屋も向かい合わせ、部屋を間違うなんてそうそうないはずなんです。
しばらくすると音もしなくなったので、リビングの扉を開け玄関に向かって廊下をそっと進みました。のぞき窓から外を見ても誰も居ない・・・エレベーターも３階にない・・・非常階段の出入り口も鍵がかかったまま・・・
玄関のカギを確認して、念のためドアチェーンを掛けてリビングに戻りました。戻ってリビングのドアを閉めた後、またガタガタガタ・ガタガタガタってドアを開けようとする音が・・・そして今度は鍵穴にカギを差し込んで回すようなジリジジジジガッツ・ジリジジジガッツさらにガタガタガタって何とか開けようとしている。
さっきより明らかに開けようとしている、部屋を間違っただけなのか確認しようと音がしないように注意しながらリビングの扉を開けて、廊下をそっと進みドアの前にたどり着きました。明らかにドアノブは開けようと回ってます。怖いもの見たさもあってのぞき窓から外を見たら、さっきまでガタガタいっていたドアノブが急に静かになり外には誰も居ませんでした。当然エレベーターも動いた形跡もないし非常階段の扉も鍵はかかってます。訳も分からずただただ怖いだけで、這うようにリビングに戻って隅っこで小さくなってました。
そしたらまた、ガタガタガタってドアを開ける音が・・・何をどうしていいかわからず、とりあえず１１０番に電話して事情を説明してきてもらうことになりました。
５分ほどしてチャイムが鳴り外を見ると警察官が来てくれていました。一階から5階まで各階と非常階段も確認してもらいましたがどの階の非常階段の扉はカギがかかっていたしどの階にも人は居なかったとのことでした。「一応近隣に不審者がいないかパトロールしてから帰りますね」と帰って行かれました。
その晩それ以降ドアを開けようとする音は聞こえませんでした。
いまだに、あの時人ならどうやって来たのか、そもそも人だったのか未だにわかりません。
